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2007年2月18日 (日)

4-2 ジグソーパズルの要素形状的概念による石組みの種類
この概念では,「石を積む」という行為よりも「石を組み合わせる」という行為となるから,最早石積みというのは動作的手段であって,これについての分類というのは理に合わないことになり,正式には「石組みの種類」というべきである。ここで「石組み」という概念について述べておこう。

1 石組みの由来
「石組み」という言葉は,構造工学的に石の組み合わせを表現するのに大変ふさわしい言葉であるが,ここでは,庭園等において「立石」(鉛直方向に石材の長い方を向けた石)を中心とする石の組み方として用いられてきた「石組」という言葉と混同を避けるために,"み"を付け加えて,以後「石組み」と記すことにする。
我が国には古代から祭祀(さいし)用の神池・神島としての池泉,或いは盤座(いわくら),盤境(いわさか)としての石組があり,居住地の防護用の水垣(みずがき:現代でいう団地などの調整池)として池泉などがあった。池を掘り,島を造り,石を立てて神と崇める性向が日本人の血の中に本能的に潜んでいたのである。その性向が飛鳥時代に中国から移入された庭園文化を容易に受け入れて,日本独自の文化に発展させる上で大変大きな力になったと云われる。
庭園の築造者が文献上に顕れるのは,「日本書紀,推古天皇20年(612)」で,百済から漂着した「路子工(ろじのたくみ)」或いは「芝耆麻呂(しきのまろ)」と呼ばれる人が,朝廷の南庭(おおにわ)に呉橋を架け,須弥山(しゅみせん)を築いたという。こうした人達は多分設計・施工を兼ねた造園家であったと思われる。
中世の庭として最も重要なのは枯山水(かれさんすい)と呼ばれる形式で,よく知られているように,水を用いずに山水風景を表現した主に石組で構成された庭である。その石組とは,鎌倉時代になると禅の思想を受けてどことなく厳しさを増し,室町時代になると荒々しく豪快なものに変化していくようになる。特に立石などは高さが高くなり,どこか庭園の主人の尊厳さを誇張しているようにも見えてくる。写真 4-3は,近江朽木旧秀隣院(現興聖寺)の庭園立石である。現存する最高級の名園で,享禄元年(1528),将軍足利義晴が三好長基の反乱の難をここに避け,この地の豪族朽木稙綱を頼って約3年間ここに滞在した時,京極や浅井,朝倉の協力で管領細川高国が将軍を慰めるために造ったという。

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4-3 近江朽木旧秀隣院の庭園立石

橘 俊綱の著書とされている平安時代の「作庭記」に,「石を立てるのに三尊佛の石は立て,品文字の石は臥せるのが普通である」として,ここに三尊佛崇拝の思想が入っている。"品"は三個の水平方向に辺の長い石が品型に積み重ねられた石組みのことである。このように「石組」という言葉は,本来庭園において立石を中心とする石の組み方として用いられてきた言葉である。

2 単材の組合わせ方による石組みの種類

1) 単材面の形状が高さの等しい方形で,水平方向に層を形成する石組み:
(例) 布積み(形状は方形)
亀甲積み(形状は六角形)

2) 単材面の形状が高さの異なる方形状で,鉛直方向で一定の層帯を形成する部分もあるが,形成しない部分が多い石組み:
(例) 粗割石の布状重ね積み

3) 単材面の形状が高さの異なる不規則な形状で,水平方向に層を形成しないが,鉛直方向の一定或いは変化する幅で,層(成層帯)を形成する石組み:
(例) 野面石の帯状均し積み

4) 単材面の形状が高さの異なる不規則な形状で,鉛直方向で常に層を形成しない石組み:
(例) 粗割石の乱重ね積み
    玉石乱重ね積み
    谷落し積み(単材面の形状は高さのほぼ等し
い方形)
    立石巻き固め積み
    立石並立,立石間割石重ね積み

3 単材の接合による石組みの種類
各単材の側面が完全に接触(接合)している石組みを"全面接合石組体",部分的に接合している石組みを"部分接合石組体"と名づける。石組みは当然全面接合石組体とするのが理想的であるが,単材の形状や加工度合によっては必ず単材間に隙き間が生じる。その結果は部分接合石組体となるのである。

1) 全面接合石組体:
  (例)布積み
    亀甲積み
    谷落し積み(谷積み)(但し規格石材に限る)
    切込石接ぎ合せ積み
    
2) 部分接合石組体:
  (例)割石の布状重ね積み
    野面石の帯状均し積み
    粗割石の乱重ね積み
    打込石接ぎ合せ積み
    玉石乱重ね積み
    立石巻き固め積み
    立石並立,立石間割石重ね積み

以上に挙げたような種類に分類しておけば大抵の石積方式は説明出来る。

4 単材に使用する石材用語の定義
以下に今後使用する石材用語について使用上の定義をしておくことにする。但し従来の説明に必ずしもこだわらない。

野面石:原則的に山野で自然状態にある石(野石),或いはそれを粗割りした石材
粗割石(あらわりいし):任意の形状に粗く割ったままの石材
割石:一般的に或る形状に割った石材であるが,粗割石よりも整形的
切石:割石と本質的に同じであるが,割石よりも整形的
打込石:専ら城郭用の或る形状の割石を,所定の形状に粗加工した石材
切込石:専ら城郭用の或る形状の割石を,所定の形状に精加工した石材
玉石:特に河川或いはその周辺部に賦存している丸型の野石。ごろた石
間知石:四角錐体の頂部お切り捨てた形状の切り出し石。間知は検知で,一定寸法の意
築石(つきいし):一般的に石積みに用いる単材。積石(つみいし)と云った方がわかり易い
友石:同じ場所に使用する隣り合う単材
桝石:正方体の切石,或いはそれに近い築石
布石:長方体の切石,布は水平の意
角石(すみいし):城郭等の隅角部を構成する石材
角脇石(すみわきいし):城郭等の隅角部を構成する石材の後部の,角石を補助する石材
蹴込石(けこみいし):単材間の隙間を充填するために,後から差し込む石材。打込石の充填用に用いる
間石(あいいし):単材の安定した据付や高さの調整,又単材間で変形・変位を生じさせないために用いる間詰用の石材

 


 


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